一番大きな影響は、地域包括支援センターで働く母から、「自宅で困っている人がいる」という話を聞き、何か力になれることが無いかなと思ったこと。また、父のマッサージをするのも好きで、何か身体に関わる仕事をしたいっていう思いもありました。この二つを合わせた結果として、理学療法士という仕事にたどり着きました。

理学療法士を志す前から、「自宅で困っている人の役に立ちたい」という思いがあり、理学療法士になってからも訪問リハで働くことに疑問はありませんでした。理学療法士として、「人生を楽しむための支えになりたい」という思いがあります。病院よりも、人の生活が深く息づく、訪問リハを志しました。理学療法という手技を提供して効果を出したい。そういった治療者としての興味も当然あります。でも、自分のどちらかというとサポート側に回る側の性格特性から、治療効果に対する満足度以上に、その人の人生にいかに関われたのかということを大切にしたいと考えています。

新卒で入職したての頃は、業務的なことよりも、自分のメンタル面が一番きつかったなと思います。入職後３ヶ月程度経ったあたりで、件数を回れていないのに給料をもらっていることや、十分に治療効果を出せていないのではという思いがあった。利用者さんに領収書をお渡しするのがほんと辛かったです。金額に見合った仕事が出来ているのかっていう気持ちがありました。また、当時は病院に就職した学校の同期と差異にも悩んだ時期もありましたが、今はほとんど感じなくなりました。環境の違いを比べても仕方がない。それよりも今、自分でできることをやろう。目の前のことをやろうと、色んな事を考えずに、目の前の人と向き合うことに集中することにしました。現在は・・・悩みが無いと言ったらおかしいのですが、やるべきことはわかってきたので、悩みを感じることが少なくなっています。わからないのなら、学べばいい。行動したら変われるんだということは、経験の中でわかってきましたから。

やりがいと聞かれたら、いつも一人の利用者さんが思い浮かびます。膝が痛くて車椅子で生活されていたのですが、リハビリのときだけ、近くのコンビニまで歩行器で買い物に行けるようになりました。その後、デイサービスにも歩いて行かれるようになり、家族さんとも外出される機会が増えてきて、今は家の中はほとんど掴まらずに歩けるまで改善されました。最初は歩くのに不安という気持ちがお強い方だったのですが、自信を持って活動できるようにサポートしました。食べることが好きということも知っていたので、少しでも楽しくリハビリが出来ればと考えて、コンビニに行くようにしたというのもあります。

一番は一年間プリセプターがついて、支えてくれる教育体制が大きかったと思います。僕の場合は一人で沖縄から出てきて、色々相談できる方も傍にいなかったので、本当に大きな存在でした。周りのとの人間関係を構築していくまで、心の支えになってくれました。色んなサービス体系があってそれを知れること。多職種と関わり合い学べることや、連携がしやすいことも大きな魅力です。

治療ではなく、治療の先にあるその方の人生を考えた提案ができ、支援が出来るのが訪問リハの魅力だと考えます。

訪問リハで働くことは自分の意思で決めていたので、その不安はありませんでした。それよりも、セラピストとして頑張っていけるか、成果を出せるのかという不安がありました。僕の場合、不安が一個あると、そこに集中してしまい、物事が手につかなくなってしまうので、まずは一つずつ確実に仕事を終わらせることを意識しました。また、なぜ不安になってしまうのか、自己分析をしてみました。感情を吐き出すために行ったのですが、思っていたことを紙に書きだしてみることで、自分を俯瞰してみられるようになりました。今でも定期的に行っています。

毎月定例の勉強会に加え、時間外に有志で行う社内勉強会に参加しています。社外の研修もありますが、病院での治療中心に考えられる勉強会が多い印象を受けます。病院と訪問では役割が違うと思うので、在宅ならではの手法を学びたいという思いがあり、参加しています。また、社内研修であれば、社内の他サービスに従事するセラピストとの関りがあり、また違った視点で物事を見ることができることも魅力の一つです。